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親権と監護権の違いとは?分けて決める場合の注意点も解説
離婚時に子どもがいる場合、親権と監護権をどうするかは大きな問題です。
一見同じように見えますが、それぞれ異なる役割があります。
今回は、親権と監護権の違い、そして分けて決める際のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
親権と監護権の違い
親権、監護権それぞれの概要を確認していきましょう。
親権とは
親権には大きく分けて「財産管理権」と「身上監護権」の2つの側面があります。
- 財産管理権:子どもの財産を管理し、法律行為(契約など)の代理を行う権利
- 身上監護権:子どもの日常生活に関する世話や教育、進路の決定など、生活面を監督・保護する権利
親権者は、原則として上記の2つの権利を持ち、子どもの成長と生活を包括的に支える立場となります。
監護権とは
一方で監護権とは、親権のうち「身上監護権」にあたる部分です。
具体的には、子どもと一緒に暮らし、食事・健康管理・しつけ・教育など、日々の生活全般を直接的に支える役割を担います。
親権と監護権を分けることは可能?
協議離婚では、どちらかの親が「財産管理権」「身上監護権」の両方(つまり親権)を持つのが一般的です。
どうしても分けたい事情がある場合は、家庭裁判所に申し立てて判断を仰ぐ必要があります。
監護権を分離する場合、親権者が財産管理権のみを持ち、一方で監護者が身上監護権を持ちます。
親権と監護権を分けるメリット・デメリット
親権と監護権を分けるメリット・デメリットのそれぞれを確認していきましょう。
メリット
メリットは、子どもの利益を優先できる場合がある点です。
親の一方が生活環境を整えており、もう一方が法律行為に関する判断に長けている場合など、それぞれの強みを活かして子どもを育てられます。
また、親権をめぐって争うより、監護権を分離させることで円満な形で合意に至る可能性もあります。
デメリット
最も大きなデメリットは、親権者と監護者の間で判断が分かれたときに、物事がスムーズに進まなくなる可能性がある点です。
たとえば進学先をどうするかなど、親権者の判断が必要な場面で意見が食い違うと、子どもが不利益を受けるかもしれません。
監護者が勝手に子どもを連れて引っ越すなどのリスクもあるため、ある程度の信頼関係を前提とした方法になります。
家庭裁判所が重視する判断基準
家庭裁判所は、子どもの利益を最優先に考えます。
当事者間で合意ができない場合や、特別な事情があるときには、裁判所が親権者や監護者を指定します。
ただし親権と監護権を別々の親に分けて指定することは、子どもの混乱や不利益を生じさせるリスクがあるため、一般的ではありません。
まとめ
親権と監護権は、子どもを守るための大切な権利ですが、それぞれの役割は異なります。
親権から監護権を分離させること自体は可能ですが、判断が分かれてトラブルになるケースもあるため、慎重に検討してください。
悩んでいる場合は、早めに弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。
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